第26回ザッカデザイン画コンペティション

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特別企画

豪華なコンペの賞体系の中でも一際ユニークな“松屋銀座賞”。有名百貨店「松屋」の全面協力のもと、第23回コンペから創設された松屋銀座賞は、第25回コンペで3回目を迎えました。
1枚のデザイン画が実際に商品開発されて松屋銀座本店の売り場で販売される、ものづくりの過程を実際にプロと一緒に体験できるという魅力的な特典のついた賞です。
今年も同賞の選考を担当する松屋銀座本店バイヤーの黒岩真一さんに改めて、第25回コンペを振り返っていただきながら、進化を続ける松屋銀座賞の魅力に迫ります!
併せて、2015年4月の展示販売会で生産30点の内、2週間で半数以上が売れ、大きな反響を呼んだ第25回デザイン画コンペ松屋銀座賞受賞作「想い」がデザイナー・メーカー・バイヤーによる商品開発を経て、店頭に並ぶまでの様子をご紹介します!

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≫松屋銀座賞製品化プロセスについて

松屋銀座本店バイヤー 黒岩真一さんインタビュー
黒岩真一さん プロフィール

(株)松屋 銀座本店バイヤー
2008年(株)松屋入社。ネクタイ売場に配属後、紳士服の仕入業務のアシスタントを経て現在は紳士靴、紳士鞄などの仕入れを担当。

» 昨年のインタビューはこちら

黒岩真一

─ 第25回ザッカデザイン画コンペティションの展示販売会を終えた感想を教えてください。

黒岩:今回は審査員から参加させていただいた初めての回ということで、出来あがった松屋銀座賞受賞作の商品に対しても、より思い入れの強い回になりました。(注:黒岩さんは第24回コンペの終盤からバイヤーとして参加されたため、審査の段階から参加するのは第25回コンペが初めて)
老舗ハンドバッグメーカーの筒井さん、受賞者であるデザイナーの関さんとともに、一から商品製作に携わることができて、ものづくりの一番最初の段階から関わっていけたので、私自身の思い入れが強くなるとともに、そういうポジティブな気持ちを、イベント会場内でもお客様にお伝えすることができたと思います。良い効果につながったと思います。

商品展示販売会松屋銀座本店5Fで4月末まで2週間にわたって展示販売会が開催されました─ はじめて黒岩さんご自身が選定し、商品製作に携わった感想を教えてください。また、前年のインタビューで、「まだ自分はバイヤーとして駆け出し」とおっしゃっていましたが、今回の経験が今後のキャリアに活かせそうでしょうか。

黒岩:オリジナル商品を一から作るということは、経験がなく、特に革製品については初めての経験でした。メーカーの筒井さんにご指導いただき、型紙の書き方、素材の選び方、デザインのやり方などを目の当たりにすることで、自分としても大変勉強になりました。
今でもバイヤーとしては駆け出しですが、デザイン画コンペの松屋銀座賞を通じて、ものづくりに携われたことで、今後、オリジナル商品を作る際の参考になりますので、非常に良い経験をさせていただいたと思っております。

─ 前年インタビューで、日本のもの作りの魅力として、「細部まで行きとどいた丁寧なつくり」をあげられていましたが、第25回の松屋銀座賞作品はそれを実感できる商品でしたか。

裏地・ファスナー・ポケットに至るまでたくさんのサンプルの中からこだわって選びました黒岩:はい。ファーストサンプルの段階で、デザイン画の特長を反映した商品に出来あがっていたので、デザインを形にする力というのは、日本のメーカーは優れているなと感じました。
単に画を形にしているだけではなく、機能的な部分、デザイナーの意図、松屋銀座の意見(市場性)を加味して表現するためには、素材の提案や芯地の提案など、もろもろ含めて技術的には必要だと思いますので、そういったところに筒井さんは大変優れておりました。

イベントを通じては、見た目を重視して商品を買っていかれるお客様が多かったのですが、せっかくですので、見た目以外の優れている点につきましても、今後も積極的に店頭でお客様に伝えていきたいとも考えております。

─ 今回受賞作の商品は、上代が税込32,400円で全30点を限定で生産しました。
バイヤーとして、商品をどのように評価していますか。

最終審査会の様子(左から2人目が黒岩さん)黒岩:2週間の会期の中で30点中19点が販売できたという点から、商品のクオリティを考えると、上代設定はお客様にとっては適正だったと思います。
クオリティは良いけど、上代が高いものは市場にたくさんありますが、そうしたものと比べて、良いバランスになったと思っています。それも製作メーカーの筒井さんと直接お取り組みができたからだと思います。

─ 過去2回の松屋銀座賞の経験をふまえ、第25回は「より松屋銀座の店頭で売るのにふさわしい作品を選定し商品化し、市場に評価を問うてみる」という色を濃くしたアプローチでした。
この前提のもと、「特に審査の際に気をつけたこと」と「特に商品製作時に気をつけたこと」を教えてください。

黒岩:審査については、そのデザイン画から、描いている方の考え方や想いが伝わってくるものを選ぼうという観点から選んでいました。松屋銀座の店頭で、お客様がお金を払ってでも買いたいと思えるような商品に仕上がるデザイン画を選ぼうと審査に臨んでいました。今回については、具体的には、誰をターゲットにした商品に仕上がるのか、ということが見える作品を選びました。作者の関さんは、ユニセックスな商品を意図されていたと思いますが、私としては、女性のお客様に向けた商品としてイメージがつきました。実際に、今回の商品は女性のお客様に支持され、狙った通りの結果となりました。どこの売り場のどのようなお客様に向けた商品になるのかが見える作品を選んでいます。

打合せの様子バッグメーカーの筒井(株)での打合せの様子(右端は受賞者の関さん)商品製作については、製作プロセスにおいて、筒井さんに関わっていただけたことで、とても勉強になりました。ファーストサンプルが完成度の高い仕上がりになっていたので、それほど何かに気をつけることなく、安心して進めることができました。
今後の改善点として、松屋銀座のお客様の傾向(例えば年齢や体型など)を考慮したハンドルの長さや機能性、デザインなどにも気を配っていけたらと考えております。

─ 展示販売会でのお客様の反応を見て、これはやって良かった、と思える点はありましたか。
また、今後はこんなアプローチをしていきたい、という点は出てきましたか。
次回の選考時には、どのような視点を強化していきたいですか。

カラーバリエーション今回は原画の黒だけでなく、シーグリーン、シャンパンゴールドの2色も生産した筒井さんからのご提案もあり、カラーバリエーションとして、原画の黒だけでなく、ゴールドやグリーンを揃えさせていただけたことは、本当に良かった点です。おかげさまでその2色は完売しました。バリエーションを揃えることで、相乗効果で売れていくというところが見えたので良かったと思います。
次回も、自分がお金を払ってでもほしいと思える商品を念頭に作品を選定するというところは変わりません。今回のようにベーシックなものに限らず、もっとデザイン性の高いものなどを選ぶこともあるかもしれません。ただし、どのようなお客様に訴求するのか、ターゲットを明確に想定しながら作品を選ぶと思います。

─ 今回の展示販売会で一番うれしかったのはどのような点でしたか。

黒岩:宣伝媒体を見た複数のお客様が、初日に商品を買いに店頭にお越しいただけたことがうれしかったです。また、男性のお客様が奥様に買って行かれる、ということもあり、記憶に残っております。

─ 最後に、第25回コンペ全体の感想と、第26回コンペの応募者の方に向けて、メッセージをお願いします。

黒岩:第25回コンペの感想としては、審査も印象に残っています。あれだけ多くのデザイン画(3,010点)を見たことがなかったので、本当に楽しかったです。自分はベーシックな人間で、あまり枠から外れたことができない性格なのですが、多くの個性あふれるデザイン画に触れることで、刺激になりました。
審査には今回から参加させていただいたのですが、デザイン画やデザインを勉強してこなかったため、非常に迷いながら選びました。審査全体の感想としては難しかったという一言に尽きます。
デザイン画の選び方としては、やはり作者の想いが伝わる、商品になったときの使われ方がイメージできる、などの観点を重視しています。

第26回のコンペに応募される方に向けたメッセージとしては、昨年のインタビューと同じことを申し上げます。松屋銀座賞に関しては、最終的には商品になり松屋銀座の店頭で販売されますので、お客様がお金を払ってでもほしいと思える商品に仕上がる作品を待っています。どんなターゲットを狙った商品に仕上がるのか、想起できる作品を選びたいと思っています。

─ 以上です。ありがとうございました!!